理学療法士の働く場所って限られているとはいえ、意外に多いのが事実。
なんとなく「こんなところがあるよなぁ」っていうのがあっても、実際に働いてみないとわからないことが多いですよね。
例えば、「回復期」での経験はあるけど「訪問リハビリ」での経験がない。
だから、「訪問リハビリって、だいたいこんな感じかなぁ」しかわかりません!みたいな。
働く場所を決める時にもっと情報があれば良くないですか?
事前にいろいろ知れるのなら、知りたいですよね!
そんな知りたいって願いを叶えるため、経験者の方にお願いして、教えてもらいました!
今回は30代の女性理学療法士の方に、「訪問リハビリで働くメリット(魅力)、デメリット(大変さ)」を聞いてきました!
訪問リハビリで働くメリット(魅力)、デメリット(大変さ)
急性期病棟や回復期病棟で理学療法士として働いていると、担当している患者さんが自宅へ帰ってからどんな生活を送るんだろうと想像しますよね。
しかし、病院の理学療法士が退院後の患者さんの生活を見ることは難しいと思います。
病院の理学療法士が関わりきれない、患者さんの退院後にしっかり関わることができる仕事があります。
訪問リハビリの仕事です!
私は実際に、自分が回復期で関わった患者さんが退院した後どういう生活をするのだろうという疑問から訪問リハビリに転職し、様々な経験をすることができました。
実際に訪問リハビリで働いた経験や訪問リハビリの特徴から、生活全般のリハビリに関わりたい人や様々な職種の方とコミュニケーションを取るのが苦ではない人が訪問リハビリに向いていると思います。
私は訪問リハビリの仕事が本当に楽しくて、働いてよかったなぁと心から思っています。
訪問リハビリの何が魅力的だったのかと考えると、大きな魅力は3つあります。
1つ目の魅力は、何といっても利用者さんの本当の生活が見えるというところです。
回復期リハビリでも退院前訪問で家屋の様子を見に行きますが、それでも退院後のADLを正確に予測するのは難しいですよね。
実際に回復期を退院した後の利用者さんが予測と全然違う方法で移動やトイレ動作を行っていることは、実は珍しくないのです。
例えば、回復期に自宅内の移動は歩行器で行うと考えられていたAさん。
自宅に帰った後で私が訪問リハビリで伺ったら、なんと壁を伝って歩いていたのです。
Aさんの家は廊下が狭かったため、なんとか廊下の壁を伝って移動ができていたのです。
回復期でも担当理学療法士はしっかり検討していましたが、Aさんは在宅復帰後にいとも簡単に担当理学療法士の予想を超える能力を発揮していたのです。
他にも、訪問リハビリでは利用者さんが実際に生活している環境や動作を見て評価やリハビリに取り入れることができますし、目標も実際の生活に基づいたものを提案することができます。
私が訪問リハビリで担当したBさんは、とにかく歩行能力の維持にこだわっていました。
でもただ歩くことにこだわっていた訳ではありません。
自宅から少し離れた場所にあるお墓へお参りにいくだけの歩行能力を維持したいと熱意を燃やしていたのです。
またCさんは、脳梗塞後の麻痺が残る体でも趣味の山登りを再開したい思いで歩行訓練に励んでおられました。
BさんとCさんは同じ歩行訓練でも、目的も距離も違います。
また訪問リハビリの利用者さんの思いは、ご家族からもリアルタイムで聞くことができ、適切な対応につながることが多いのです。
2つ目の魅力は、訪問リハビリも様々な介護チームの一員ですから、かかりつけの主治医、担当のケアマネジャーや看護師、介護士と交流があることです。
病院内だと、それぞれの職種で微妙に上下関係があったりして、なんとなく気分が悪いことってありませんか?
自分の事業所とは違う事業所の方と連携するときは、上下関係がなくお互いが敬意をもって対応するので、気持ちよく接することができました。
また介護保険分野ではサービスが違う事業所がいくつも関係していることが多いので、様々なサービスを理解するのにとても役立ちます。
私は病院で働いていたときは介護保険のサービスが全然分からなかったのです。
今になって思うととんでもない話ですが、訪問リハビリで働くようになって、そもそも病院の相談員とケアマネジャーが違う仕事だということに気付きました。
また利用者さんが訪問介護やデイサービスなど様々なサービスを使っていて、介護保険のサービスの種類を少しずつ覚えていくことができました。
3つ目の魅力は、とにかく一人での移動が気楽だということです。
大きな病院で働くと、いつも誰かと一緒にいて慌ただしいし、正直苦手な同僚の一人や二人は必ずいるものです。
技術も知識も乏しいのに口だけうるさい先輩、すぐに病棟の看護師ともめる後輩、管理能力がない管理職の上司などなど。
面倒な同僚がいると、リハビリ以外の仕事が増えて毎日憂鬱になりませんか?
しかし訪問リハビリでの訪問は基本的には一人なので、移動中は気楽だし訪問中も利用者さんのリハビリだけに集中することができます。
どれくらい気楽かというと、私はラジオが大好きなので車での移動中はラジオが聞き放題なのが最高でした。
コンビニで休憩中にこっそり昼寝をしたこともあります。
もちろん、いろいろなことに一人で対応することになるので責任も伴いますが、対応策をしっかり決めておけば不安も解消されると思います。
訪問リハビリは魅力がたくさんありますが、残念ながら大変だ、難しいと感じたことも3つあります。
デメリットの1つ目は、病院リハビリよりも医療情報が取りにくいところです。
訪問リハビリで取ることができる情報として主治医の先生の診断書や退院前の病院からの申し送り、ケアマネジャーやご家族からの話などがありますが、リハビリを行ううえでどうしても確認したい情報が少ない時もあるのです。
例えば股関節骨折後の患者さんなのに脱臼のリスクがあるのかどうか分からないなど、リハビリを行う上でどうしても必要な情報が足りないときには、自分から情報を取るために他の事業所へ連絡する積極性が必要です。
慣れてしまえばなんともありませんが、他の事業所に電話するのは最初は結構緊張しますし、電話や書面でのやり取りの仕方など社会人としてのマナーはおそらく病院の職員よりも必要だと思いました。
2つ目のデメリットは、ゴールを立てにくいというところです。
訪問リハビリを開始するときのゴールが移動やトイレの自立、などはっきりしているときはいいのですが、現状の維持や「庭を散歩したい」などあいまいなゴールにすると、訪問リハビリを終了することができず、だらだらと続けてしまうことになります。
多くの利用者さんは、リハビリの専門職である理学療法士にはずっと来てもらって一緒にリハビリをやってもらいたいとずっと考えてくださいます。
でも訪問リハビリで生活を整え、自主練習を提案し、デイケアなどの外出のサービスにつなげていくことで利用者さんの自立を促したり社会参加やご家族の負担の軽減につなげる必要があるかもしれません。
また1日に訪問できる利用者さんの数は決まっていて、無限に増やすことはできません。
ゴールを適切に設定して、終了できる方を終了していかないと、新しい利用者さんに訪問リハビリを提供することができません。
利用者さんの可能性を最大限に引き出すために常に利用者さんやご家族の気持ちを確認し、ケアマネジャーなど他のチームスタッフと方向性を合わせておく必要があります。
3つ目のデメリットは、意外と時間に追われるところです。
訪問リハビリでは訪問時間をきっちり決めてスケジュールを立てるのですが、利用者さんの話が長かったり、道路が渋滞したりしていて次の訪問時間にずれ込むことも少なくありません。
私が働いていた事業所は訪問に車を使うことが多かったのですが、焦ると事故も起こしやすくなるのでとても危険です。
利用者さんのご自宅でお茶を出していただいたり、ついつい話が長くなったりするなど、リハビリ時間を延長してしまい焦って運転することがないように、時間内に予定しているリハビリをしっかりこなす力が必要だといえます。
以上、訪問リハビリで働くことにはメリットもデメリットもありますが、理学療法やリハビリの意味を深く考えたうえで生活全般のリハビリに関わりたい人は訪問リハビリに向いていると言えるでしょう。
また、様々な職種の方とコミュニケーションを取るのが苦ではなく、責任も伴いますが基本的に一人が好きな人が訪問リハビリに向いていると思います。
訪問リハビリで利用者さんが実際にどんな生活をしていて、どんなリハビリを提供できるか経験したうえで病院リハビリにまた戻るということも、かなり意味のあることだと思います。
訪問リハビリに合いそうだと思った方は、ぜひ挑戦してみてください。
まとめ
お話をまとめると、
まとめ
- 生活全般のリハビリに関わりたい人や様々な職種の方とコミュニケーションを取るのが苦ではない人、基本的に一人が好きな人が訪問リハビリに向いている!
- 訪問リハビリの魅力は3つ!利用者さんの本当の生活が見えること、かかりつけの主治医、担当のケアマネジャーや看護師、介護士と交流があること、とにかく一人での移動が気楽なこと!
- 訪問リハビリは病院リハビリよりも医療情報が取りにくく、ゴールを立てにくい!それに意外と時間に追われるのが大変なところ!
訪問リハビリは、利用者さんとより深い関係になるんですね!
だから、病院だけを経験した理学療法士にはわからないことも多くあるようです!
訪問リハビリっていうのがどんな感じなのか、かなりイメージできたんじゃないでしょうか!
経験者の方に教えてもらえることって、なかなか無いので、ぜひ参考してください!
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