理学療法士の働く場所って限られているとはいえ、意外に多いのが事実。
なんとなく「こんなところがあるよなぁ」っていうのがあっても、実際に働いてみないとわからないことが多いですよね。
例えば、「回復期」での経験はあるけど「訪問リハビリ」での経験がない。
だから、「訪問リハビリって、だいたいこんな感じかなぁ」しかわかりません!みたいな。
働く場所を決める時にもっと情報があれば良くないですか?
事前にいろいろ知れるのなら、知りたいですよね!
そんな知りたいって願いを叶えるため、経験者の方にお願いして、教えてもらいました!
今回は30代の男性理学療法士の方に、「訪問リハビリで働くメリット(魅力)、デメリット(大変さ)」を聞いてきました!
訪問リハビリで働くメリット(魅力)、デメリット(大変さ)
私は理学療法士として回復期病院に就職し、その後、訪問リハビリに転職しました。
回復期と訪問リハビリの経験から、訪問リハビリについて感じたことがあります。
まず始めにデメリットを2つ。
1つ目は『営業がある』ということです。
回復期病院では「上司から担当の割り振り→リハビリをする→退院→次の担当の割り振り」の繰り返し。
担当しては退院させての繰り返しで与えられた仕事をこなすだけで、急性期病院とのやり取りや病院のベッドの稼働率を管理するのは、管理職だけの仕事でした。
でも、訪問リハビリでは違います。
『営業』があるんです!
例えば、スケジュールに空きがある時は、ケアマネージャーさんへ電話をしたり、事務所に足を運んだりし、新しい利用者さんを紹介してもらえるように、挨拶回りをします。
もちろん、営業ばかりという訳ではなく、ケアマネージャーさんの方からリハビリの依頼が来ることも多いです。
ですが、リハビリの依頼が来るのは、余程ケアマネージャーさんと関係性ができていたり、長く事業所さんとお付き合いがあったりしないと、なかなか依頼なんて来ません。
訪問リハビリでは『実績がない=収入がない』ということなので、訪問リハビリの事業所としても死活問題です!
実際にノルマの件数に達成できない時は、『このままじゃ給料に影響がでるかも』と不安な日々を過ごすこともありました。
なので、私たち理学療法士自ら、ケアマネージャーさんのところへ挨拶に行き、利用者さんを振って頂けないか交渉をします。
時には『報告書を持って行くついで』に、時には『利用者さんの相談のついで』に。
何かと理由をつけて行くこともあれば、素直に『スケジュールに時間があるので』と直談判に行きます。
その場で利用者さんを振ってもらえることは少ないですが、ケアマネージャーさんの頭の片隅に残っていれば、その後、利用者の紹介へと繋がります。
私は回復期病院では『営業』とは縁が無かったため、訪問リハビリに転職した当初は、凄く緊張しました。『自分には営業は向いてないんじゃないか』と落ち込んだのは鮮明に覚えています。
訪問リハビリのデメリット2つ目は『セラピストのモチベーションが持続しにくい』です。
私が経験した回復期病院では急性期から脱し、身体的・精神的にも回復段階にある患者さんを主に担当します。そのため、身体的にも活動的にも改善していく場面を経験しやすいです。
そして、改善したら退院し、新しい患者さんで再度、改善していく過程を経験できます。そのため、正のフィードバックを受けやすく、自己肯定感の向上に繋がり、モチベーションも持続されやすいです。
私が働いているところでは、1回40分、週に1、2回頻度で訪問リハビリを利用される人がほとんどです。
訪問リハビリは維持期であり、介入時間・頻度共に少ないため、回復期病院のような劇的な改善はあまり体験しません。
利用者さんは老いや自宅生活での活動量の低下などから、身体機能は下がっていく人が多いです。
それに、訪問リハビリでは長い期間、同じ利用者を担当します。
回復期病院では数ヶ月で退院していきますが、訪問リハビリでは数年単位で担当することも珍しくありません。
私も老衰により病院へ入院するまで担当した利用者さんも何人もいます。
すると『慣れ』が出てきてしまいます。
人は慣れてしまうと怠けてしまう部分が必ず出てきます。
実際に私も、担当当初は少しでも改善するようにリハビリを行い、環境設定や自主訓練の指導も積極的に行っていましたが、1年間くらい経つと、気づけば毎回同じ内容のリハビリをしていたことがありました。
『リハビリをしても現状維持が精一杯』で『マンネリ』が続くとモチベーションを持続させるのが難しくなります。
しかし、訪問リハビリもデメリットばかりではありません!
訪問リハビリにはデメリット以上のメリットが3つあります!
1つ目は『視野が広がる』ことです。
回復期病院では、自宅への退院を目指し、自宅の環境に沿ったリハビリをしていきますが、所詮は病院内の整った環境で行われます。
病院では、トイレや廊下の移動が想像しやすいです。
ただ、家に帰って、手すりが複数ついた広いトイレや段差・障害物もない廊下など、病院のように環境の整った家なんて、実際にはありません!
退院前にいくら環境設定をしたとしても『患者さんのための完全バリアフリーな病院と数十年前に建てられた自宅ではベースそのものが違う』のです。
また、病院の生活では転倒することは御法度のため、安全が保証されるまで介助者が常に付いてくれます。
すると、『病院では苦も無くトイレまで行けていたのに、家に帰ると歩くのがしんどいから、ポータブルトイレを使っています』や『病院のリハビリでは、起き上がりができたけど、家のベッドではできないから、レンタルを再検討する』なんてことは珍しくありません。
逆に『病院では、危ないから歩く時は腰を支えてもらっていた人が、家に帰れば1人でトイレまで行っている』なんてこともあります。
回復病院で働いていた私は、病院内での生活と自宅での生活のギャップに驚きつつも、『病院と在宅では必要な能力は違う』ということを学びました。
2つ目は『コミュニケーション能力が上がり、社会人として成長できる』ことです。
訪問先では利用者さんだけでは無く、家族さんも一緒に居ることが多くあったため、失礼の無いように最低限のマナーを学びました。
それに、訪問リハビリでは他職種・他事業所の方々と一緒に仕事をすることが多く、主治医への報告書の作成やケアマネージャーさんに利用者さんの近況報告、福祉用具さんへレンタル品変更のお願いなど報連相することが多いです。
自分の会社以外の人と会うことでマナーを学び、自然とコミュニケーション能力が向上していきました。
病院勤務だと病院内の人との連携が主であり、社会人としてのマナーや常識が身についていなかったと私自身、感じました。
転職して数ヶ月が経ち、回復期病院時代の先輩や同僚に会った時、『笑顔が良くなったな』や『電話対応の仕方、そんな上手だったか?』と言われました。
最後に3つ目のメリットは『歩合がある』ということです。
必ずしも全ての訪問リハビリが歩合制を採用しているわけではありませんが、回復期病院ではあり得ませんでした。
1日20単位を回り、それ以上でもそれ以下でも同じ給料をもらう日々でした。
しかし、訪問リハビリでは目標単位数以上をこなせば、その分は歩合で自らの給料として補填されます。
回復期病院のように1日20単位も行っていれば基本給料以上にもらえるのは確実です。
訪問リハビリでは、利用者さんの間に車での移動時間があるため、回復期病院のように20単位行く事はありませんが、私は最大で18単位回っていた日もありました。
目標が15単位だったので、それを越えた3単位分が歩合制で給料に上乗せされていました。
私の知人では、20時まで働くセラピストいましたが、その人は、1日に21単位回っていると聞きました。
働けば働いた分だけ給料も上がるのは、額が少なかったとしても、モチベーションupに繋がります。
訪問リハビリのデメリットである営業も、私はお金のためと思えば、苦にならなくなりました。
何よりやっていれば慣れていき、コミュニケーション能力や社会人としての対応能力が付くため、最終的にはデメリットとならないでしょう。
それに、訪問リハビリでは、長期に関わるからこそ、利用者さんや家族さんとの信頼関係ができ、リハビリ目標が達成できた時の喜びは回復期病院では味わうことの無い経験で、モチベーションの維持に繋がります。
このように訪問リハビリにはデメリットもあればメリットもありますが、私はメリットの方が大きいと感じます。
訪問リハビリから職場を変えることがあればどこであろうと、コミュニケーション能力や社会人としてのマナーなどは役に立つと思います。
まとめ
お話をまとめると、
まとめ
- 訪問リハビリで大変なのは2つ!営業があること、それにセラピストのモチベーションが持続しにくいこと!
- 訪問リハビリの魅力は3つ!視野が広がこと、コミュニケーション能力が上がり、社会人として成長できること、歩合があること!
- 営業もお金のためと思えば苦になったし、何よりやっていれば慣れていき、コミュニケーション能力や社会人としての対応能力が付くため、最終的にはデメリットとならない!
訪問リハビリは、病棟で働いていたら経験できないことが経験できそうですね!
外部とのやり取りなど大変そうですが、リハビリのこと以外の、まさに社会人に必要なスキルも身につきそうですね!
訪問リハビリっていうのがどんな感じなのか、かなりイメージできたんじゃないでしょうか!
経験者の方に教えてもらえることって、なかなか無いので、ぜひ参考してください!
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