整形外科疾患やスポーツ分野に興味がある人が転職を考えた際、まずは求人サイトで施設を探しますよね。
その時、施設基準の「運動器リハビリテーションⅠ」や「運動器リハビリテーションⅡ」といった文字を目にしたことがあるのではないでしょうか。
ですが、実際それが何を表しているのかわかりますか?
なんとなく「Ⅰ・Ⅱ・Ⅲだから何かレベルの違いかな?」と思っている人が多いと思います。
私は6年間クリニックで働いていましたが、正直ずっと知りませんでした。
だって知らなくたってそんなに困ったことがないから(笑)
でも、自分が転職する際にちゃんと調べてみると「転職先を探すときにすごい役に立つな!」と感じました。なぜならば施設基準を知ることで、施設のイメージがつきやすくなるからです。
これを読んでから求人サイトを見れば、今よりももっと具体的に施設のイメージがつくようになって、自分に合った施設を選べるようになります!
具体的なイメージを持つことで入職後に「イメージと違った!」なんてことも防げますね!
運動器リハビリテーションⅠ,Ⅱ,Ⅲの違い
大きな違いは①診療点数、②施設のスペース、③医師 ④人員の4つです。
簡単に表にまとめるとこんな違いがあります。(令和2年時点)
運動器Ⅰ | 運動器Ⅱ | 運動器Ⅲ | |
診療点数 | 185点(111点)※ | 170点(102点)※ | 85点(51点)※ |
施設のスペース | 病院:100㎡以上 診療所:45㎡以上 |
病院:100㎡以上 診療所:45㎡以上 |
45㎡以上 |
医師 | 専任の常勤医師1名以上(運動器リハビリテーションの経験を有する) | 専任の常勤医師1名以上(運動器リハビリテーションの経験を有する) | 専任の常勤医師1名以上 |
人員 | 常勤PTかOTが合わせて4名以上勤務 | 1.常勤PT2名以上 2.常勤OT2名以上 3.常勤PT・OT各1名以上 1.2.3.のいずれかを満たす |
常勤PTかOTいずれか1名以上勤務 |
※()内は要介護被保険者等に対して標準算定日数(運動器の場合150日)を超えてリハビリテーションを行う場合の点数
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①診療点数
- 運動器リハビリテーションⅠでは185点(111点)※
- 運動器リハビリテーションⅡでは170点(102点)※
- 運動器リハビリテーションⅢでは85点(51点)※
となっています。
すべての医療行為はあらかじめ点数が決められており、それを診療点数といいます。
診療点数は1点10円で、医師の診察などの技術料、必要な薬剤や薬価などの価格といった数千以上の項目から評価され決められています。
例えば、運動器リハビリテーションⅠとⅢを比べると、Ⅰの方がスペースは広く、スタッフも多いです。そして医師の経験もあるので、診療報酬を高くすることで経営が成り立っています。
1人の患者さんに対して1単位(20分間)のリハビリを行ったとしても、運動器リハビリテーションⅠとⅢでは、施設に入ってくる報酬が違うんです。
また、Ⅰ〜Ⅲに分類することによって様々な機能を担う医療機関ができ、地域によって必要とされる医療が確保できるようになっているようですね。
②施設のスペース
運動器リハビリテーションⅠ・Ⅱの病院では100㎡以上、診療所では45㎡以上
運動器リハビリテーションⅢでは45㎡以上の治療や訓練を充分に行える、専用の機能訓練室の広さが必要です。
でも、100㎡とか45㎡ってどのくらい?ってなりますよね。
調べてみました。
まず100㎡は単純に10m×10mです。
畳に変換するとだいたい64畳くらいです。
うーん。よくわかりませんね。。
身近な物に例えると
テニスのシングルコートの片面が、横8.23×縦11.89=97.85㎡で一番近いです。
また、学校の教室は9×7=63㎡ほどのため、教室の1.5倍くらいのイメージですね。
次に、診療所や運動器リハビリテーションⅢに分類される45㎡は教室の70%くらいと考えると結構狭い印象を受けます。
私の前の職場は運動器リハビリテーションⅠに分類される診療所でした。
しかし、実際にPTが利用できるスペースは25㎡くらいだったと思います。
その中で、多い時では5人のPTが5台のベッドを上手く並べて利用していました。凄く密です。
狭くてPT同士がぶつかったり、運動のタイミングが被ったりするとスペースが使えず譲り合いになってしまい、思うようにリハビリが行えなくなってしまいます。
施設基準を知っていると、ある程度の人数とスペースのイメージが付くので、見学する前から施設のイメージが持ちやすくなりますよ。
③医師
運動器リハビリテーションⅠ・Ⅱでは、運動器リハビリテーションの経験がある専任の常勤医師が1名以上勤務していることが必要になります。
運動器リハビリテーションの経験とは、運動器リハビリテーションの経験が3年以上あるか、適切な運動器リハビリテーションにかかわる研修を受けた医師が望ましいとされています。
運動器リハビリテーションⅢでは、専任の常勤医師が1名以上となっているので、運動器に特化した医師でなくても可能ということですね。
PTとして働く上でどんな医師の下で働くかは重要なポイントですよね!
運動器リハビリテーションの経験のある先生はそれをウリにしているため、スポーツ疾患の患者さんも集まりやすい傾向があると感じます。
実際に私の前の職場の場合、医師が運動器リハビリテーション認定医の資格を習得していたため、オリンピックに出場している選手が来院したことがありました。
急な来院だったため、スタッフ全員驚きです!
誰が問診に行くかとかで裏でキャッキャしていました(笑)
大会直前だったので、急いで近所の運動器リハビリテーションに強い病院を探したのだと思います。
スポーツにかかわりたい気持ちのある人は運動器リハビリテーションⅠかⅡの施設を選ぶようにすると、少しだけそんな出会いにも期待できるかもしれません。
④人員
運動器リハビリテーションⅠでは常勤のPTかOTが合わせて4人以上勤務していることが定められています。
運動器リハビリテーションⅡでは常勤のPTかOTが2名以上、または常勤PT・OT各1名以上のいずれかを満たす必要があります。
運動器リハビリテーションⅢでは常勤のPTかOTどちらかが勤務していれば大丈夫です。
その施設がどのくらいの規模で、一緒に働く人が何人いるかの目安になります。
例えば、運動器リハビリテーションⅢで募集が1人の場合は同職の仲間がいないことがわかります。
1人で働きたい人は、運動器リハビリテーションⅢの施設を狙うとマイペースに働けるでしょう。
逆に、知識やテクニックに自信がない人は、1人職場になってしまうのでよく考えてくださいね。
まとめ
この記事についてまとめると、
まとめ
- 運動器リハビリテーションⅠ・Ⅱ・Ⅲは診療点数・施設のスペース・医師・人員の4つの違いがある!
- 診療点数は運動器リハビリテーションⅠ・Ⅱ・Ⅲの順で高く、1人の患者さんに1単位のリハビリを行ったとしても、施設に入る報酬がそれぞれ違う。
- 運動器リハビリテーションⅠ・Ⅱの病院では100㎡以上、運動器リハビリテーションⅢや診療所では45㎡以上のスペースが必要。知っていれば施設のイメージをイメージしやすくなる。
- スポーツに関わりたい人は運動器リハビリテーションの経験がある専任の常勤医師がいる運動器リハビリテーションⅠかⅡの施設を選ぶようにするのがベター!
- 運動器リハビリテーションⅠ・Ⅱでは常勤のPTかOTが2人以上勤務しているが、運動器リハビリテーションⅢでは1人職場になってしまうので注意が必要。
運動器リハビリテーションⅠ・Ⅱ・Ⅲの違いを知っていると少しだけ施設のイメージがしやすくなったと思います。
皆さんが、自分に合った施設を見つけられるように祈っています。
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