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理学療法士の将来性はない?セラピストとして生き残る道を考える!

みなさんはなぜ理学療法士を目指しましたか?

「人のためになりたい」
「手に職を付けたい」
「医療職で国家資格だから食いっぱぐれがない」

などの理由でセラピストを目指した人が多いと思います。

病気の予防や機能回復のためのリハビリがずいぶんと一般的になり、医療従事者としてはマイナーだった理学療法士という仕事が注目される機会も増えました。養成校も増え、理学療法士の数も増えています。

そこで気になるのは理学療法士の将来性。20年後、40年後、若いセラピストが急増する中、私たちはPTとして定年を迎えることはできるのでしょうか。

今回は理学療法士の将来性があるのかないのか、様々な観点から考えてみました。

これを読めば、目先のことより少し長いスパンで理学療法士という仕事を見つめ直せますよ。人生設計を組み立てる参考にしてください!

理学療法士の未来はどうなのか

一言で将来性といっても、業界・個人・ライバルの視点と大きく3つの要因で考える必要がありますよね。まずはそれぞれの視点で将来を見てみましょう。

業界としての視点から将来を見る

まずは理学療法士業界・医療業界の将来について考えてみます。

診療報酬が影響する?

私たちが行う医療行為に対し、保険制度から病院・施設に支払われる診療報酬。

診療報酬は2年ごとに見直し(改定)が行われています。医療は新たな手術や新薬などの優れた技術が次々と開発・導入される世界なので、診療報酬も現場の動向に左右され、絶えず見直されていくんですね。

診療報酬改定は、診療報酬改定率という数値(%)で表されます。これまでの診療報酬改定の動向を確認すると、2002~2008年は小泉政権による構造改革の一環として、大きくマイナスの値となりました。その後しばらくは改定率がプラスに転じていましたが、2016年度の改定以降は再度マイナスとなり、厳しい改定が続いています。

医師であり、厚生労働技官の迫井正深氏は、

急速な少子高齢化と低成長経済を基調とした日本の財政状況において,診療報酬改定を取り巻く環境は当面厳しいと考えられ,大規模な改定財源を確保し続けることは必ずしも容易ではない。

との見解を示しています。

現在は、高齢社会の到来で医療費が増え、国の財政を圧迫しています。厚生労働省による平成29年度の調査によると、医療費全体の約60%を65歳以上が占めているとの結果が出ています。

そのため、国が診療報酬を下げることで、医療費を削減しようとしています。同じ疾患の患者さんに同じ診療をしても、年々診療報酬が下がっているので、医療機関の収入は下がる一方です。

今後、高齢化率が高まって、さらに医療費が増加することを考えると診療報酬が上がることは期待できそうにありません。給料が診療報酬によって左右されやすいところは理学療法士の弱みでしょうか。

ですが、診療報酬が一律で決まっているからこそ、病院・施設間での収入の差が生まれにくく、ある意味、安定していると言えるかもしれません。

大きく儲けることは難しいけれど、手に職があって安定した収入を得られるところは理学療法士の強みですね!

テクノロジーの進歩が影響する?

次は理学療法士がテクノロジーの進歩によって淘汰される職業なのかを考えていきます。

AIやロボットが発展した未来において、患者さんを抱えたり持ち上げたりといった作業は減っていく可能性はあります。それに、今は難病とされるリウマチやパーキンソン病が薬で治ってしまえば、理学療法士としての活躍の場は減るかもしれません。

ですが、理学療法士の仕事は、人と人との触れ合いが重要です。AIやロボットが発展したからといって、対面での会話や手のぬくもりの大切さは変わらないでしょう。

ということで、職域の縮小はあっても淘汰されることはないでしょう。

さらに、理学療法士の新たな活躍の分野として広がっていく可能性があるのは予防医学です!

20年後40年後と、これからも高齢化率は上がっていく一方です。少ない人数で多くの高齢者を支えることになりますから、今以上に予防医学に力を入れることが重要になってくるのではないでしょうか。

現在は、あくまで病気になった人がリハビリを受けるというのが一般的ですが、予防医学の領域で理学療法士がもっと活躍できれば、理学療法士の職域が広がり、国民の健康にもつながり、医療費も削減できていいことばかりですよね!

予防医学に限らず、理学療法士の職域を広げる努力を、今後20年40年の間に、私たちが考え、行動しないといけないですね!

一個人としての視点から将来を見る

厚生労働省が挙げている仕事上での腰痛の要因の一つとして、「人力による人の抱上げ作業」があります。特に医療・福祉職場における腰痛の割合は全産業の中でも高いそうです。

本来ならば治す立場の理学療法士ですが、日々患者さんを抱きかかえたり、持ち上げたりする職業柄、体への負担は大きく、「職業病」を抱えているセラピストも少なくありません。

若ければ無理ができますが、これから20年30年と同じように移乗介助や歩行介助ができるのか…60歳の私が自分より大きな全介助の患者さんを移乗させたり、歩行介助したりしている姿は想像できません。性別や体格にもよりますが、今の私には自信がないというのが本音です。

ですが、調べてみると職場環境によっては体への負担を最小限にできる方法があることがわかりました。

まず、比較的規模の大きな病院であれば、ある程度スタッフ数が多く、複数人での介助が可能です。マンパワーが不足していると、手伝ってもらいにくかったり、一人当たりの担当患者数が多く忙しい場合があったり、無理をしてしまいがちです。

また、最近は「抱え上げない介護=ノーリフト」という言葉を耳にするようになってきました。そもそもノーリフトとは、オーストラリア看護連盟(ビクトリア州)が看護師の腰痛予防のために 1998 年ごろに提言したもので、危険や苦痛を伴う人力のみの移乗を禁止し、患者・利用者の自立を考慮した福祉用具使用による移乗介護を義務付けるものです。

日本においても、平成 25 年に国の腰痛予防指針が改定され、『人力での抱え上げは、原則行わせない。リフトなど福祉機器の活用を促す』ことが明示されました。

でも、これって全く現場に浸透していませんよね!

ただ、医療・介護業界を魅力的な職場にして離職率を下げるために、一部の高齢化率が高い地域では、ノーリフティングケアを本腰入れて取り組みはじめています。

一人ひとりの意識と働き方を変える仕組みづくりや、最新の福祉用具を導入できる資金面が重要になってくると思います。

ちなみに、私が住んでいる地域にある老人保健施設の求人広告を見てみたのですが、ノーリフティングケアを推奨している施設がありました。

将来の展望を見据えた職場、職員を駒として扱うのでなく大切にしてくれる職場を見極めることで、理学療法士として末永く活躍できることができるでしょう。

ノーリフティングケアを推奨している施設を探すにはこちら

ライバルとしての視点から将来を見る

厚生労働省が2019年に行った「医療従事者の需給に関する検討会 理学療法士・作業療法士需給分科会」によると、理学療法士・作業療法士の供給数は現時点ですでに需要数を上回っていて、2040年頃の供給数は需要数の約1.5倍となる見通しです。

これは現在の養成定員を維持した場合で、2040年時点では理学療法士・作業療法士の総数は47万人ほどとなる推計です。

ということで、「理学療法士が飽和状態」は紛れもない事実ですね。このままでは、将来、若いライバルが急増することが分かりました。

ですが、需要と供給のバランスが重要ですので、今度は需要のほうに注目してみましょう。

リハビリの対象者として大部分を占める高齢者ですが、現在は人口の29.1%が65歳以上といわれていて、その数は3,600万人以上です。

日本の総人口は、現在から今後長期に渡り減少傾向にありますが、65歳以上の高齢者は増加していく見込みです。具体的な65歳以上の人口推計は、2042年に3,935万人でピークを迎え、その後は減少していくと予測されています。

リハビリの対象者は高齢者だけではありませんが、高齢者の人口が増え続けるうちは、理学療法士としての活躍の場はなんとか確保できるかもしれません。ですが、2042年以降、高齢者数が減少していくにもかかわらず、セラピストの数が増え続ければ、飽和状態が加速していくことは避けられないでしょう。

ということで、長いスパンで理学療法士として活躍したいなら、選ばれるセラピストになる必要がありそうですね。

理学療法士として生き残るには?

業界の要因、個人的な要因、ライバルの要因の3つの面から、理学療法士の将来が厳しいことがわかりました。

それでは、選ばれるセラピストになるために私たちにできることはなんでしょうか。

専門分野を磨く

専門分野を磨く方法はいろいろとあります。個人的にコツコツと知識や技術を積むのもいいですが、転職する際などは客観的に示すことできる内容が望ましいです。

具体的には、

  • 学会に所属する
  • 臨床研究・論文を発表する
  • 日本理学療法士協会が運用している生涯学習プログラムを履修する
  • 理学療法士以外の医療・介護関係の資格を取る

などがこれに当たります。内容によっては履歴書や職務経歴書に記載することもあります。

学会への所属や臨床研究・論文の発表歴などは、仕事への意欲や自己研鑽の様子を客観的に示すことができます。

さらに、日本理学療法士協会の生涯学習プログラムにおける認定理学療法士や専門理学療法士の資格取得に対して、取得支援制度のある求人もあり、今後、持っていたら有利になる可能性があります。

2022年4月にリニューアルされることになっており、理学療法士という専門職の質を保証するために、5年ごとの更新制を取り入れることになっており、さらに取得する価値が高まりそうです。

また、心臓リハビリテーション指導士、呼吸療法認定士、栄養サポートチーム専門療法士、認知症ケア専門士、ケアマネジャーなど、理学療法士が取得して損はない資格はたくさんあります。

医療・介護に関する他の資格を持っていたり、研修を受けたりすることで、理学療法士として働きながら福祉施設の管理者をするなど、職域が広がる可能性もあるんですよ。

理学療法士人口が増える中で、優秀な人材を選ぶという視点で、理学療法士以外の資格の有無は一つの指標となるかもしれません。

さらに、理学療法士として就職していた場合でも、医療・介護関係の他の資格を取得することで、資格手当の金額がアップする職場もあります。

がんばった分、自己研鑽にもなってお給料も上がる場合があるので要チェックです!

資格手当のある職場を探すにはこちら

兼業する

理学療法士としての将来性に疑問を感じたら、その他の部分で保険をかけておく方法もあります。

はっきり言ってしまえば「副業」です。

具体的には、

  • クリニックなどでのアルバイト
  • パーソナルトレーナー
  • リハビリに関するサイトの運営
  • アプリケーションの作成
  • 書籍の出版

などは、理学療法士の資格や経験を活かしてできる副業です。

副業を行っていれば、本業が立ち行かなくなったときでも収入が途絶えるのを防ぐことができますし、気持ち的に安心ですよね。

副業OKな職場を探すにはこちら

副業とは少し違いますが、日本理学療法士協会が運営する理学療法士向けサイト「リガクラボ」では、理学療法士として仕事をしながら、違う分野で活躍されているセラピストを紹介しています。

理学療法士としての経験を活かして、バラエティに富んだ分野で活躍をされている方ばかりで目からウロコですよ。

まとめ

この記事をまとめると、

まとめ

  • 理学療法士の給料は診療報酬によって左右されやすいが、診療報酬があることで病院・施設間の差が生まれにくく、安定した収入が得やすい。
  • AIやロボットの発展、医療の進歩で、理学療法士の職域が狭まる可能性もあるが、理学療法士の仕事は、人と人との触れ合いや会話が完全にAIやロボットにとって代わることはないだろう。予防医学など、活躍の場を広げられるかが生き残れるポイント?
  • 日々患者さんを抱きかかえたり、持ち上げたりする理学療法士にとって、体への負担は大きく、職業病を抱えているセラピストは多い。「ノーリフティング・ケア」など、医療者の体を気遣ったケアを推奨し、機器の導入を積極的に行っている職場なら長く勤められる!?
  • 理学療法士・作業療法士の供給数は現時点ですでに需要数を上回っていて飽和状態にある。長いスパンで活躍したいなら、選ばれるセラピストになる必要あり。
  • 「学会に所属する」「臨床研究・論文を発表する」「日本理学療法士協会が運用している生涯学習プログラムを履修する」「理学療法士以外の医療・介護関係の資格を取る」など、選ばれるセラピストになるために専門分野を磨く。
  • 理学療法士の資格や経験を活かした副業を行うことで本業が立ち行かなくなったときの保険をかける。

理学療法士の将来性についてまじめに考えてみました。

今日明日を生きることに必死ですし、あまり明るい内容ではありませんでしたが、長いスパンで理学療法士という仕事を見つめることで、将来への準備や心構えができれば幸いです。

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