ご存知だと思いますが、理学療法士の働き先って意外にたくさんあるんです。
なんとなく知ってるけど、詳しくは知らない人も多いんじゃないでしょうか?
だってこれまで働いてきたところしか知らないんですから、当然っちゃ当然です。
だから、今回は今さら聞けない理学療法士の働き先についてまとめました。
この記事を最期まで見ていただけると、理学療法士の働き先について今以上に理解できます。
「理学療法士に向いてないのかな」
「私に向いてる働き先ってないのかな」
そんな方は是非参考にしてください。
同じ理学療法士として働くにしても、ジャンルや部門が変われば新しい世界が見えてきますよ!
理学療法士の就職先
「みんな何処で働いているんだろう?」
素朴な疑問を持ったことはありませんか?
理学療法士ならほとんどの人が加入している、日本理学療法士協会にその答えがありました。
会員の分布→http://www.japanpt.or.jp/about/data/statistics/
日本理学療法士協会によると、2020年3月時点で会員数は125,372名だそうです。
増えているとは聞いてましたが、理学療法士ってそんなに居てるんですね。
で、最も多かったのは病院や診療所といった医療施設でした。
なんと全体の約66%もの人たちが、この医療施設で働いているという結果になりました。
同じ医療施設と言っても、病院や医院、クリニックで違います。
それに病院でも、急性期や回復期、維持期(生活期)に終末期と分けることができます。
それぞれの特徴を後でまとめていますが、まずはどんな働き方をしたいかで選んでみてはどうでしょうか?
働き先別
理学療法士の働き先をそれぞれ特徴をまとめたので、参考にしてください。
病院/急性期
ココがポイント
- 幅広い疾患のリハビリが行える
- 他分野よりもリスク管理にシビア
- 医療に携わっている実感がある
- 1人に関わる期間は比較的短い
急性期リハビリっていうのは、病気や怪我の治療直後や治療と並行して行われます。
ご存知とは思いますが、最近では治療の早い段階で寝たきりの防止や後遺症の軽減に努める流れになっていますよね。
急性期のリハビリは、期間としては概ね発症から数日後~1ヶ月くらいの方が対象になります。
患者さんの今後の予後にも大きく影響する大切な時期ですよね。
基本的に急性期リハビリの目標は、発症前の状態まで回復させることじゃないんです。
病状や状態に一定の回復が確認できたら、回復期リハビリなど次の段階へ移行することになります。
そのため急性期リハビリでは次の段階に進んだときに、よりスムーズに回復へと繋がるように橋渡しになることを期待されています。
また急性期っていうくらいですから、他の分野よりもリスク管理に注意しなければいけません。
患者さんの病状を見て、他の分野以上に医師や看護師などと相談しながらリハビリを行っていく必要があるでしょう。
まぁチーム医療が浸透してきて、他職種との連携はどの分野でもあることですけどね。
急性期病院の特徴としてはとても回転率が高い施設となっていて、大きな病院であれば毎日のように新しい患者さんの治療を開始することも多くなります。
そのため理学療法士としては、短期間でより多くの症例を経験することができます。
短期間でいかに最適なリハビリテーションを行うかがポイントになるでしょう。
それに急性期リハビリの魅力の1つは、その顕著な回復過程をサポートできることでしょう。
患者さんの機能や能力の改善を目の当たりにし、理学療法士として医療に携わることを実感できます。
さらに、ICUなど救急医療という救命の現場に理学療法士として活躍されている方もいるんですよ。
ICUですよ!凄いですよね。
同じ理学療法士として尊敬します。
ただ、手術など治療による回復や患者さん自身の治癒力の力も顕著に見られる時期でもあります。
これはごく自然なことですし、患者さんが良くなることは良いことなんですが、リハビリによる効果であるということを十分に実感できない方もなかにはいるようです。
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病院/回復期
ココがポイント
- 患者さん1人ひとりを比較的長い期間診ていける
- 回復能力がもっとも高い時期
- 患者さんの生活と深く関わっていくことができる
回復期とは文字通り、病状が安定し始め体が回復に向かっている時期です。
と言っても、合併症のリスクなどはまだありますけどね。
回復期リハビリでは、心身ともに回復して退院や社会復帰をすることが目的となります。
対象としては以前の生活と同様、もしくはそれ以上の生活・活動を可能にさせるため、継続したリハビリテーションが必要な人です。
特徴としては、患者さん1人ひとりと比較的長い期間関わることができる、ということが挙げられます。
回復期リハビリテーション病棟では1日最大3時間リハビリに励むことになります。
そのため、理学療法士としてのスキルを存分に発揮したい方にはオススメの分野と言えるでしょう。
ただ入院期間やリハビリ期間には期限があります。
ちょっと法律事務所のCMみたいな言い方になりましたね。笑
例えば脳血管障害(脳卒中)と診断された場合、回復期リハビリ病院に入院できるのは「発症から2ヶ月(60日)以内」の方のみが対象となります。
それに同様のケースの場合、入院期間としては発症から最大180日までの期限があります。
期限はありますが、回復期リハビリでは回復能力がもっとも高い時期と言えます。
言い換えれば、理学療法をガンガン行える時期とも言えます。
リハビリを通じて日々、機能や能力が向上していく患者さんと関わることができるので、理学療法士としてのモチベーションも高まりますよね。
だから、理学療法士としては人気の分野になっています。
リハビリ内容としては、急性期と比べて手段的日常生活動作(IADL)訓練を中心に実施することが多くなる傾向があります。
理学療法士としての知識、技術、経験を駆使して患者さんの自宅復帰を目指します。
ここでポイントなのが、どんな家に帰るのかって人によって異なりますよね。
だから、自宅退院が見えてきた方に対して回復期リハビリテーション病棟では家屋評価を行う場合があります。
本当に今在宅復帰して生活していけるのか、特に独居の方にとっては死活問題にもなるので、慎重に検討しなければなりません。
手すりの位置は大丈夫なのか、新たに設置しなくても良いのか。
お風呂には福祉用具の導入はいらないのか、必要であれば退院までに練習しなければいけません。
こうやって家屋評価することで、退院までのより具体的なリハビリメニューを計画することができるでしょう。
さらに家屋評価だけでなく、必要なサービスはないのかも検討しなければなりません。
折角、在宅復帰できるレベルまで回復されても、家に帰ったらまた状態が悪化したら意味がありません。
その為にはデイサービスに行った方が良いのか、訪問系サービスを利用した方が良いのかなど検討が必要です。
それに、ただ生活できるってだけではなく、その人がその人らしく生活できるかがポイントになります。
回復期リハビリでは、患者さん一人ひとりの生活と深く関わっていくことができるのが魅力ですね。
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病院/維持期(慢性期、生活期)
ココがポイント
- 1人に対してあまり時間をかけられない
- 機能回復よりもQOLの向上を求められる時期
- 理学療法士としてのやりがいを感じにくい人もいる
維持期、慢性期、生活期などいろんな呼び方がありますが、概ね同意語と捉えて良いでしょう。
そんな様々な呼ばれ方をする維持期リハビリですが、目的はQOLの向上です。
以前は急性期、回復期で得たリハビリの成果を維持することが目的だったようですが、だいぶこの辺りも時代とともに変わってきたようですね。
維持期リハビリの特徴としては、回復期までに行ってきたリハビリを継続しつつ、患者さんが実生活で必要なこと、役立つことを増やしていくことが挙げられます。
維持期では回復期のように機能回復をあまり期待できないので、その人それぞれにあった動作や日常生活上での工夫をしていくのも重要になります。
それに患者さんの年齢などによっては、就労の支援を他職種の方と共にサポートしていくことも必要とされます。
また退院している患者さんは、週に何度かリハビリを受けるために外来リハビリへ移行し、通院することになります。
ただ、ちょっと難しい話になるんですが、2019年4月より「要介護・要支援者への維持期・生活期リハビリの、医療保険給付から介護保険給付への移行」が完全に実施となりました。
これの影響で通院での維持期リハビリを病院で受けられる方が大幅に減少しました。
どうなるかというと、病院での維持期リハビリは終了となってしまった患者さんは、介護施設への通所リハビリに切り替えることになりました。
そのため、維持期のリハビリでは今まで以上に理学療法士はケアマネージャーとの連携が必要となっています。
連携って言うと難しそうに聞こえますが、リハビリを継続する必要性やこの患者さんの生活ではこういうリハビリをしていくのがいいですよーって提案してあげると良いので、心配はいらないと思います。
それよりも維持期リハビリでは、理学療法士側からするとちょっと難しいところがあります。
まずはリハビリの時間をしっかりと確保できないことです。
やはり入院中のリハビリと比べて、外来リハビリへ移行するとリハビリの時間はガクッと減ってしまいます。
この辺りはどうしようも無いですが、理学療法士としてはもどかしいところですね。
それに維持期リハビリでは、患者さんが良くなっている実感を得にくいということがあります。
ここも回復期などと比べてしまうと、あんまり変わらないなぁって感じる部分がどうしてもあります。
良くなっている実感を持てないとリハビリを継続するモチベーションが下がります。
すると通院回数も減って負のスパイラルにも陥りやすいので、理学療法士としてはいかにリハビリを継続してもらうかがポイントになります。
自宅で簡単にできる自主トレーニングを提案したり、家庭内での役割を持っていただいたり、時には心のケアをしたり、様々な角度から患者さんのモチベーション維持を図らないといけません。
理学療法士として、この辺りは悩むところでもあるし、逆にやりがいを感じるところにもなるでしょう。
そうです、維持期リハビリの魅力の一つは社会復帰に向けてのサポートができることです。
理学療法士が住宅改修や福祉機器などの利用を提案することも大切な役割です。
それに患者さん本人だけでなく、その人の能力を活かした介助方法など、ご家族への指導も行います。
この維持期リハビリと似ているものに、通所リハビリがあります。
これは似ているようで全然異なるものなので、ついでに説明しておきますね。
維持期リハビリの内容は基本的に医療保険のリハビリ、これに対して通所リハビリは介護保険のリハビリを指します。
簡単に言えば、医療のリハビリは「生活の質向上」を目指すものであり、介護のリハビリは「日常生活の自立」を目指すものとして区別されています。
まぁ頭の片隅にでも入れておいてくださいね。
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病院/終末期
ココがポイント
- 最期までその人らしい生活ができるようサポートする時期
- 患者さんのご家族のサポートも必要になる
「終末期」って聞くと、ちょっと暗いイメージをされるかもしれませんね。
ただ終末期リハビリは、最期のその時が来るまでその人らしい生活をしてもらうという重要な役割があります。
終末期リハビリが必要な時期っていうのは、ご存知の通りADLが著しく低下しています。
そんな中でリハビリを取り組むことは、安らかに看取りを迎えるという意味でも重要なものとされています。
なかには、そんな時期にリハビリなんて必要じゃないと考える方もいるでしょう。
でも、最期までその人らしく生活する上で、可能な限りリハビリをして痛みを和らげたり、ちょっとでも体が動くことを実感したり、生きる気力を維持することも大切です。
理学療法士として、ポジショニングを提案して褥瘡予防に努めたり、ご家族の介護負担感を減らしたり、いろんな角度から介入する必要があるでしょう。
患者さんの中には、少しでも家族に迷惑をかけたくないという希望もあるでしょう。
そんな思いを叶えるため、理学療法士として終末期リハビリを行う意味があります。
クリニック、診療所、医院
ココがポイント
- 急性期リハビリを行うことはほとんどない
- 外来リハビリが多くなる
- 老若男女問わずたくさんの疾患を診ることができる
クリニック、診療所、医院は同義語と捉えて良いです。
どれも主に外来患者さんを診察する医療施設のことで、そもそも病床がない、病床があっても19人以下の施設である医療施設のことを指します。
要するに、病院との違いって言ったら病床数です。
病床がないもんだから、大きな手術を必要としない患者さんがほとんどです。
だから、クリニックでは急性期のリハビリを行うことはほとんどありません。
クリニックにリハビリで来られる患者さんは、別の病院で手術後にある程度リハビリをされて退院された方、そもそも手術を必要としない保存療法の患者さんがほとんどです。
外来でのリハビリがほとんどなので、基本的に患者さんの回転率は高くなっています。
新規の患者さんなんかもジャンジャン来るので、たくさん疾患を診れますよ。
ただ、その分プログラム作成も多く、リハビリ実施計画書などの作成もたくさんしなければなりません。
なんと言っても維持期リハビリなどと同様に、リハビリの時間は少なくなるので難しさもあります。
それに年齢層が広く、老若男女問わずいろんな方が来られます。
いろんなお話もできますし、いろんな悩みを持った方の精神的なケアも必要となります。
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訪問リハビリ
ココがポイント
- QOLの向上が目的になることが多い
- 患者さんだけでなく、ご家族のサポートも必要になる
- 他業種の人との連携が多くなる
訪問リハビリとは文字通り、患者さんの自宅に訪問して主治医の指示に沿ったリハビリや診療の補助を行います。
訪問リハビリの目的は身体機能の向上だけではなく、利用者さんの日常生活における自立と社会参加の促進、また利用者さんとそのご家族を含めた心理的サポートも含まれ、QOLの支援を総合的に行います。
訪問リハビリには設備基準っていうものがあって、病院、診療所又は介護老人保険施設であることが条件となっています。
詳しくはこちらをご覧ください→厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000167233.pdf)
訪問リハビリを受けられる人は、以下の2つの条件を満たした人が対象です。
参考
1.介護保険証の認定を受けられている人
要介護認定(要介護1~5)を受けている人
40~64歳までの人は、要介護状態となった原因が「がん」や「関節リウマチ」など「16種類の特定疾病による場合」の認定を受けた人のみが対象となっています。→厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/nintei/gaiyo3.html)
介護予防(1~2)の人は「介護予防訪問リハビリ」の対象となり、同様のサービスを利用することができます。
2.かかりつけ医から「訪問リハビリが必要」だと認められる人
家庭内の環境や病状の内容から診て、医師が必要だと診断した場合に訪問リハビリを受けられることになります。
病院でのリハビリと違うところと言えば、より患者さんの生活に密着している点でしょう。
バイタルチェックだけでなく、食事や排泄状況の確認、服薬状況なども出来る範囲で管理します。
それに、住宅改修の助言などの環境整備に関わったり、福祉用具の提案をしたり、時にはご家族の相談に対応したりとその役割は幅広いです。
役割が幅広いが上に、ご家族や主治医、看護師、ケアマネジャーに限らず、福祉用具事業者、デイサービスなどの患者さんが利用しているサービス事業者など連携する人も増えます。
ケアプランを変更する時なんかは、それぞれの担当者が患者さんの家に集まって担当者会議というものもあります。
訪問リハビリは、1日あたり40分や60分で行い、1日で4~6件程度をイメージしておくと良いでしょう。
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訪問看護ステーション
ココがポイント
- QOLの向上が目的になることが多い
- 患者さんだけでなく、ご家族のサポートも必要になる
- 他業種の人との連携が多くなる
- あくまでも看護業務の一環って立ち位置になる
最近では世の中の流れとして、医療機関から在宅療養への移行が進められています。
と言うのも、国が地域包括ケアシステムを作ろうぜって言ってるからなんです。
地域包括ケアシステムってなんやねんって感じですよね。
地域包括ケアシステム
団塊の世代が75歳以上となる2025年を目途に、重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築を実現していきます。
今後、認知症高齢者の増加が見込まれることから、認知症高齢者の地域での生活を支えるためにも、地域包括ケアシステムの構築が重要です。
人口が横ばいで75歳以上人口が急増する大都市、75歳以上人口の増加は緩やかだが人口は減少する町村部等、高齢者の進展状況には大きな地域差が生じています。
地域包括ケアシステムは、保険者である市町村や都道府県が、地域の自主性や主体性に基づき、地域の時性に応じて作り上げていくことが必要です。
まぁ簡単に言えば、その人が住み慣れたところでその人らしい人生を最期まで送れるように、関わる人たちはみんな連携していこうねぇって話です。
それで、訪問看護ステーションでは特に医療と介護をつなぐ役割が求められているって訳です。
だから訪問看護ステーションではターミナルケアや24時間対応体制など、その役割の幅が広がってきてるんです。
ただ理学療法士として注意しておきたいのは、訪問看護ではあくまでも看護業務の一環って立ち位置なんです。
理学療法士等による訪問看護は、その訪問が看護業務の一環としてのリハビリテーションを中心としたものである場合、看護職員の代わりに訪問させるという位置付けのものです。
最近では、リハビリばっかり提供している訪問看護ステーションが問題視されています。
2016年の調査(https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000186845.pdf)では、全体の30%がリハビリ職のみによる訪問となっているような報告も出てきました。
それに、リハビリ職員の構成比が高い訪問看護ステーションは、24時間対応可能な体制をとっている事業所が少ないこともわかってきています。
そういった中、2020年の診療報酬改定で訪問看護ステーションは、看護職員の割合を6割以上にしましょうって流れになりました。
だから今後訪問看護ステーションで働く理学療法士は、人員の割合がどうなっているかってところも考慮していかなければなりません。
だって、あなた自身の給与にも影響があるからです。
訪問看護ステーションで働くのは辞めた方が良い、とかっていう話ではありませんよ。
ただ人員の割合などにしっかり対応しているところは良いですが、訪問リハビリステーション化している訪問看護ステーションで働くことは、避けるべきでしょう。
デイサービス(通所介護)
ココがポイント
- 病院などと比べると1人に対するリハビリの時間は少なくなる
- 機能訓練指導員という立ち位置になる
デイサービスっていうのは、通所介護とも呼ばれる介護保険サービスのことを言います。
介護保険分野で働いている方はご存知と思いますが、在宅で生活されている利用者が専門の施設に通い利用します。
デイサービスの目的は、心身の健康維持向上、社会的交流の場、楽しみや生きがいの場、清潔保持、生活リズムの安定化、ご家族の負担軽減などが挙げられます。
サービスの内容としては、基本的に食事や入浴、レクリエーション、機能訓練などがあります。
でも、同じデイサービスと言ってもリハビリに特化したところや、認知症に対応しているところなど今では様々なデイサービスがあります。
それにデイサービスは、小規模なところから大規模なところまで、規模も様々です。
小規模デイサービスでは大規模施設と比べて、比較的一人一人に寄り添いながらリハビリを行えます。
大規模デイサービスでは、設備が充実していることも多く、より多様なメニューで機能訓練を行うことができます。
デイサービスで働くのであれば、こういった規模による施設の特徴もしっかり考慮しておいた方が良いでしょう。
さらに理学療法士が知っておくべきことは、スタッフの配置基準です。
デイサービスでは機能訓練指導員を1名以上配置しなければなりません。
機能訓練指導員とは、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員(准看護師)、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師の6つの職種を合わせた職種を指します。
配置基準なんか何か関係あるの?
って思うかもしれませんが、機能訓練指導員で違和感ありませんか?
そうなんです、リハビリスタッフとはなっていないんですよね。
デイサービスでは機能訓練を行いますが、必ずリハビリ専門職が指導してくれるとは限らないってことです。
ちなみに機能訓練とは、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護師、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師などが、「減退防止」を目的に提供する訓練のことを指します。
だから、デイサービスで働く際に機能訓練指導員が複数名いると聞いていて、いざ働き出して見ると理学療法士の人がいない、なんてこともあり得ます。
別に悪いとかって意味ではありませんが、当然理学療法士の仲間がいると思っていると、思わぬところで驚いてしまうかもしれません。
デイサービスでは機能訓練っていうのは、頭に入れておいたほうが良いでしょう。
それに、デイサービスでは必ずしも機能訓練指導員が直接指導することはなく、介護職員であっても機能訓練を行うことができるってことも知っておきましょう。
デイサービスと呼び名が似ているもので、デイケアというものがあります。
デイサービスとデイケアの違いも1度見ておきましょう。
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デイケア(通所リハビリ)
ココがポイント
- 病院などと比べると1人に対するリハビリの時間は少なくなる
- 機能回復を目指したリハビリ
デイケアというのは、通所リハビリとも呼ばれる医療系の介護サービスのこと言います。
デイケアの目的は、デイサービスの目的でもあった心身の健康維持向上、社会的交流の場、楽しみや生きがいの場、清潔保持、生活リズムの安定化、ご家族の負担軽減などに加え、身体機能の維持回復、生活機能の維持向上、コミュニケーション能力の向上などが挙げられます。
デイサービスは介護でしたが、デイケアは機能回復を目指したリハビリなんです。
デイケアのスタッフ配置基準は、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士のいずれか1名以上が必要となっています。
デイケアはリハビリテーションに特化したサービスなんです。
だから、医師や理学療法士をはじめとしたリハビリ専門職が必ず在籍しており、個別にリハビリを行うことができます。
それにデイケアがデイサービス違う点として、運営主体が決められているということがあります。
デイケアの運営主体は病院、診療所、介護老人保健施設など厚生労働省により定められているんです。
これに対して、デイサービスの運営主体に決まりはなく、基準を満たせば誰でも開設することができるようになっています。
さらにもう1つ、デイケアには医師が常駐することが義務付けられているんです。
デイケアは怪我や病気でリハビリが必要な方が対象なので、医師の指示のもと理学療法士などがリハビリを行います。
デイケアはデイサービスとは異なるんです。
介護老人保健施設
ココがポイント
- 自宅復帰できるように支援する施設
- 入所者は原則3ヶ月しか利用できない
- 主に維持期リハビリ
- リハビリ専門職の配置が義務付けられている
介護老人保健施設は、病気や怪我などで長期入院していた高齢者が退院後に自宅復帰できるように支援する施設のことです。
略して、老健と呼ばれていますね。
なんか名前だけ見ると、高齢者がずっと住む施設のような印象を持ってしまうかもしれませんが、そうじゃ無いんです。
老健ではあくまでも、入所者の身体機能を向上させ自宅で生活できるようにすることっていうのが目的なんです。
だから老健では、医師・看護師・介護士・リハビリ専門職などの職員がいて、利用者に医療や介護、リハビリなどのサービスを提供します。
気付きましたか?
そうです、老健でリハビリ専門職は必要不可欠な存在なんですよ。
介護老人保健施設を利用する人っていうのは、病院で治療やリハビリを受けたけど、身体機能が思うように回復できなかったって人がほとんどなんです。
老健っていうのは、在宅へ戻るにはちょっと早いけど、病院ではリハビリを続けられないって人の受け皿になっているんです。
でも、この老健もずっとは利用できないんです。
老健は原則3ヶ月しか利用できないって覚えておきましょう。
あと理学療法士として、老健では維持期のリハビリがメインとなるので、やりがいに繋がらなさそうと思っている方もいるでしょう。
でも、急性期や回復期では改善していなかった利用者を、維持期で回復させることができたときの達成感はやりがいへと繋がるって意見もあるんですよ。
同じ理学療法士でも、いろんな視点がありますね。
なかには自然治癒の影響が少ない維持期だからこそ、セラピストとしての実力が試されると考える人もいるとか。
老健とよく似た施設名で介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム特養)っていうのがあります。
どちらも介護保険が適用できる公的な介護施設なんですが、その役割は大きく異なるのでこの際見ておきましょう。
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特別養護老人ホーム
ココがポイント
- 在宅生活が難しい人の日常生活の世話や機能訓練を行う施設
- 個別リハビリから集団リハビリまで行う
- リハビリ専門職の配置が義務付けられていない
特別養護老人ホームは、介護老人福祉施設とも呼ばれています。
略して特養と呼ぶことが多いですね。
そんな特養は、老人福祉センターやデイサービスセンターなどと同じ老人福祉施設の1つです。
特養を簡単に説明すると、在宅生活が難しい要介護者の日常生活の世話や機能訓練を行う施設と言えます。
だから対象となる人は、身体または精神に著しい障害があり常時介護が必要な人ということになります。
特養でのリハビリの主な目的は、これ以上悪化しない為の機能維持や減退防止です。
それに病院のリハビリなどと違って、個別のリハビリから大人数で行うレクリエーションや季節の行事など多岐にわたるのが特徴ですね。
それに特養では、リハビリ専門職が1人しかいないなんてことも多くあります。
このリハビリ専門職の配置が義務付けられているかどうかっていうのが、老健と特養の大きな違いと言えるでしょう。
特養にはリハビリ専門職の配置が義務付けられてはいないんです。
その上、入居者1人に対するリハビリ時間にも限りがあるので、特養では介護士や看護師の連携も重要となります。
ここでも、回復を目的にリハビリを行ってきた理学療法士としては、維持を目的にリハビリすることには物足りなさを感じる人もいることでしょう。
ただ、より生活に密着できるので、リハビリ以上のものを提供できるとも言えます。
QOLを向上させるために、理学療法士としてどんなことができるのか、いろんな視点から考えることができるし、勉強にもなるでしょう。
老健と特養の違いもまとめておくので、参考にしてください。
老健と特養の違い | ||
老健 | 特養 | |
入所条件 | 要介護1以上 | 要介護3以上 |
サービス | 自宅復帰を目指す医療ケア | 身体介護が中心の自立支援 |
入所・入居期間 | 原則3ヶ月 | 終身利用 |
リハビリ専門職員 | 1人以上(利用者100人に対して) | なし |
有料老人ホーム
ココがポイント
- 高齢者の住まい
- 介護、家事、健康管理のうち1つを提供する
- 介護型、住宅型、健康型の3種類ある
- 主に病院でいう維持期リハビリ
- 個別リハビリから集団リハビリまで行う
有料老人ホームとは、高齢者が心身ともに健康を維持しながら、快適に生活できるように配慮された住まいのことを言います。
有料老人ホームでは、入浴や排泄、食事などの介護、洗濯や掃除などの家事、そして健康管理のうち、1つ以上のサービスを提供しています。
それに有料老人ホームには3つの種類があって、介護型、住宅型、健康型に分かれているんです。
入居者は必要に応じて選ぶことになりますが、サービス内容によって施設の価格帯もさまざまとなっています。
施設によっては、自立している人のみが対象としているところもあるし、要介護認定を受けている人のみを対象としているところもあります。
理学療法士が有料老人ホームで行うリハビリは、病院でいう維持期リハビリの内容です。
施設と言っても生活の場なので、機能回復よりもやはりQOLの向上を目指したリハビリが主になります。
もちろん、機能回復を目指すリハビリがゼロという訳ではありません。
医師と相談し、機能回復を目指したリハビリメニューを行う場合もあります。
それに、個別リハビリ以外にも入居者の人たちと集団リハビリも行います。
入居者同士が仲良くなるきっかけにもなるので、集団リハビリも大切な役割がありますね。
じゃあ有料老人ホームを種類別に、それぞれの特徴を見ていきましょう。
介護付有料老人ホーム
一般的に老人ホームと呼ばれるのは、この介護付有料老人ホームっていう施設です。
その特徴は、運営や人員などの基準をクリアして、都道府県などから認可を受けているという点です。
介護付有料老人ホームは医療体制も整っていて、介護も受けられるので、要介護状態でも生活できる施設となっています。
まぁ名前からして介護サービスが充実してるんだろうなってわかりますよね。
それに介護付有料老人ホームはさらに、2つに分かれます。
要介護認定を受けている人が対象の介護専用型、自立してる人と要介護認定を受けている人のどちらも対象の混合型があります。
もっと言えば、介護サービスの提供方法に違いがあって、施設の職員が直接介護を行う一般型、外部の介護サービスを使う外部サービス利用型があります。
他の老人ホームと違うのは、介護スタッフが常駐しているという点でしょう。
もちろん、高額な老人ホームほど人員や施設が充実していますよ。
住宅型有料老人ホーム
住宅型有料老人ホームは、原則65歳以上で自立している人から要介護者(主に軽度)まで入居できる老人ホームです。
生活上のサポートや緊急時の対応などが主なサービスとなっていて、施設からの介護サービスは提供されないんです。
だから、介護やリハビリのスタッフが常駐していないっていうのが特徴です。
入居者が介護サービスを受けたい時には、在宅の時と同じようにケアマネージャーなどと個別で契約をすることになるんです。
まぁでもデイサービスや居宅介護支援事業所などが併設されている施設もたくさんあります。
それに住宅型老人ホームでは、レクリエーションやイベントが充実している施設が多くあります。
なかには介護体制を整えて、介護付有料老人ホームと変わらない施設も増えてきています。
もっと言えば、高額になるほど施設は充実していて、理美容室やプール、ジムまで設備が整っているところもあるんですよ。
健康型有料老人ホーム
健康型有料老人ホームは、自立した高齢者に特化した施設です。
入居の条件は、原則65歳以上で自立して生活ができる人となっています。
自立した生活もできるけど、万が一の時のために入居されている人なんかもいます。
でも注意しておきたいのは、入居後に要介護状態になったら、介護サービスを受けられる施設に移る必要があるんです。
そんな健康型有料老人ホームの特徴は、イベントやレクリエーション、カラオケ、温泉などの施設やサービスが充実している点です。
アクティブシニアが存分に人生を楽しむ、いわゆる第二の青春ってやつを送るための老人ホームとなっています。
食事や掃除などの家事も施設がやってくれるので、ほとんどの時間が自分の時間って生活ができてしまいます。
いやぁこうして見ていると、羨ましいくらいですね。
まぁ健康型老人ホームの数は、まだまだ他の老人ホームと比べると多くはありませんけどね。
その他の働き先
ここまで紹介してきた以外にも、理学療法士の働き先はあります。
さらに詳しく
実際に働いたことがある人の口コミは以下を参考にしてください。
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経験者談|理学療法士の「はじめの1歩」はケアミックスがオススメ!
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経験者談|理学療法士として行政で働くのは「地域作り」が魅力!
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まとめ
今回の記事をまとめると、
まとめ
- 同じ理学療法士でも、働く場所によって求められる役割に幅がある
- 理学療法士は機能回復だけでなく、その人の生活に寄り添うことができる職業である
- 理学療法士は他の関連職種と連携することで、より良いものを提供できる。
実際に働いたことのある人の口コミは、どんな環境なのかイメージするのに、とても参考になると思います。
自分に合う分野を見つけて、どんどんチャレンジしていきましょう。
それに、同じ分野でもその病院や事業所によって、雰囲気や働き方も変わってきます。
あなたの力を存分に発揮できるところを見つけて、今よりもっと充実した日々を送ろうじゃありませんか!